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児童発達支援事業の売却方法と流れ|成功するM&A完全ガイド

児童発達支援事業の売却方法と流れ

児童発達支援(児発)や放課後等デイサービスは、社会ニーズの高まりと報酬改定の影響で参入・退出が活発な領域です。「児童発達支援 売却」「児童発達支援 M&A」「児童発達支援 廃業」といったキーワードで検索する経営者も年々増えています。本記事では、最新動向を踏まえて最適な売却タイミングから具体的なM&Aプロセスまでを網羅的に解説します。

1. 児童発達支援を取り巻く市場動向

1-1. 令和6年度報酬改定のポイント

厚生労働省は2024年4月(令和6年度)に障害福祉サービス等の報酬改定を実施しました。児童発達支援・放課後等デイサービスは、個別支援体制の評価や強度行動障害支援加算の見直しなどが行われ、適切な人員配置・記録管理が利益率に直結する構造が強化されています。

1-2. M&Aマーケットの拡大

国内M&Aプラットフォームでは児童発達支援・放課後等デイサービスの売却案件が常時100件超掲載されており、想定価格は2,000万〜7,000万円がボリュームゾーンです。​

人材確保が難しい買収側にとって、既存のスタッフ・ノウハウを一括取得できるストラクチャーは魅力的で、適正なバリュエーションを示せれば短期間で成約しやすいのが特徴です。

2. 売却を検討すべきタイミングと主な理由

  • 後継者不在:オーナー経営者の高齢化、管理者候補不足
  • 制度改定・監査リスク:人員基準厳格化への先行投資が重荷
  • 事業多角化:医療・介護本体への集中を図りたい
  • キャッシュイン:早期リターンで個人資産を確保したい

3. 売却準備ステップ

3-1. 内部診断と経営数値整理

まずは月次損益・利用定員・加算取得状況を洗い出し、監査指摘リスクや帳票不備を解消します。特に個別支援計画・スタッフ配置記録が不足するとデューデリジェンスで減額要因になるため要注意です。

3-2. バリュエーションの考え方

児発の評価はEBITDA×マルチプル(2〜4倍)+運転資本が一般的。利用定員の充足率と加算取得率が高いほどプレミアムが上乗せされます。物件賃貸借の場合は残存契約期間と更新条件も値付けに影響します。

3-3. 専門アドバイザー選定

障害福祉M&Aに実績ある仲介会社やFAを活用することで、買手フィルタリング・価格交渉・行政手続をワンストップで委託可能です。

4. 売却プロセスの全体像

  1. ティーザー(ノンネームシート)作成
    事業概要・エリア・年間売上などを匿名で示し、興味を惹く。
  2. NDA締結・IM開示
    秘密保持契約後に詳細インフォメーションメモを提供。
  3. 面談・施設見学
    スタッフの引継ぎ体制・モチベーション維持策を説明。
  4. LOI(意向表明書)受領
    希望価格や譲渡スキームを買手が提示。
  5. デューデリジェンス
    財務・法務・ビジネス・労務の四面から精査。
  6. 最終契約(SPA)締結
    表明保証・競業避止・従業員継続雇用条項を定める。
  7. クロージング・行政届出
    児童発達支援の指定権者(市町村)変更手続きは最終契約後30日以内が目安。
  8. ポストM&A統合作業
    加算要件の再チェックと品質マニュアル共有がカギ。

5. 売却スキームと契約上の留意点

児童発達支援では事業譲渡よりも株式譲渡が主流です。理由は以下のとおり:

  • 許認可・加算を法人単位で維持しやすい
  • 人員再配置の手間を抑え、営業継続性を担保
  • 税制上の優遇(株式譲渡益課税20.315%)を享受

ただし株式譲渡では潜在債務リスクが買手に移転するため、表明保証や補償上限を明確化しましょう。

6. ミニ事例で学ぶ成功ポイント

Case:関東・定員10名×2拠点/年商4,800万円/EBITDA 600万円
短期間で定員充足し、常勤児童指導員3名確保。評価はEBITDA×3.5=2,100万円+運転資本400万円で2,500万円にて成約。最大の決め手はスタッフ離職率ゼロとICT記録管理で監査コストが可視化されていた点でした。​

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 人員基準を満たしていないと売却は難しい?

A. 不足人員を確保する追加コストを考慮し減額で買手が提案するケースが一般的。早期に採用計画を提示できれば価格維持が可能です。

Q2. 利益が出ていなくても買手は見つかる?

A. 児発はエリア独占性と利用児童の継続率が高いモデル。赤字でも稼働率改善余地が読めれば買手は付きます。

Q3. 廃業と売却、どちらが得?

A. 廃業は資産処分・解散清算コストが発生し、雇用調整助成など追加費用リスクも。買手が見つかるなら売却の方が資金回収+社会的責任の両面でメリット大です。

8. まとめ—売却成功の鍵は「早めの準備」

児童発達支援事業の売却では丁寧な内部診断・専門家の活用・買手ニーズに沿った情報開示が成否を分けます。報酬改定で収益モデルが変わる前に動くことで、最適なバリュエーションを確保しましょう。

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