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事業承継や売却、M&A等に関して介護業界で困った際に相談をすべき相手とは?

目次

  1. 介護業界の現状と事業承継の重要性
  2. 事業承継・M&A相談先の選択肢
  3. 各専門家の詳細分析
    1. 顧問税理士・公認会計士
    2. 弁護士
    3. 金融機関
    4. 信頼できる経営者・同業者
    5. M&A仲介会社
  4. 相談先選択のポイント
  5. 費用対効果の考え方
  6. まとめ:最適な相談先を見つけるために

1. 介護業界の現状と事業承継の重要性

日本の介護業界は深刻な転換期を迎えています。2024年の統計データによると、介護事業所の倒産件数は前年比40.9%増の172件となり、過去最多を記録しました。一方で、高齢化率は2050年に4割を超える見込みとなっており、介護サービスの需要は今後も拡大し続けることが予想されています。

※厚生労働省調査:2025年までに70歳を超える中小企業経営者は約245万人、うち約半数が後継者未定

このような状況の中で、介護事業者が直面する最も深刻な問題の一つが事業承継問題です。介護保険制度が開始された2000年以降に創業した事業者の経営者が高齢化し、後継者不足により廃業を余儀なくされるケースが急増しています。

事業承継や売却、M&Aを検討する際には、適切な相談先を選択することが成功の鍵となります。しかし、相談先によって得られる支援内容、費用、成功確率は大きく異なるため、事前に各選択肢の特徴を理解しておくことが重要です。

2. 事業承継・M&A相談先の選択肢

介護業界における事業承継・M&Aの相談先として、主に以下の5つの選択肢があります。それぞれに特徴があり、事業者の状況や目的に応じて最適な相談先は変わります。

  • 顧問税理士・公認会計士:税務・会計の専門家として身近な存在
  • 弁護士:法的手続きや契約関連の専門知識を持つ
  • 金融機関:融資先として長期的な関係を持つ
  • 信頼できる経営者・同業者:業界特有の課題を理解している
  • M&A仲介会社:専門的なマッチングサービスを提供

3. 各専門家の詳細分析

3.1 顧問税理士・公認会計士

多くの介護事業者にとって最も身近な相談先が顧問税理士や公認会計士です。日常的な会計処理や税務申告を通じて事業の実態を把握しており、相談しやすい関係性が築かれています。

メリット

  • 事業の財務状況を詳細に把握している
  • 税務面での適切なアドバイスが期待できる
  • 既存の信頼関係に基づいた相談が可能
  • 企業価値評価における財務面の分析が得意
  • 相談費用が比較的安価

デメリット

  • M&A実務経験が限定的な場合が多い
  • 買い手候補の紹介能力に限界がある
  • 介護業界特有の法的規制への対応が不十分な場合がある
  • 交渉スキルや契約書作成能力に個人差がある
  • 他の専門家との連携が必要になるケースが多い

費用相場

相談料:月額顧問料に含まれる場合が多い(追加費用:時間単価8,000円〜15,000円)
成功報酬:取引金額の2〜5%程度

3.2 弁護士

事業承継やM&Aには多くの法的手続きが伴うため、弁護士への相談も重要な選択肢の一つです。特に介護業界では許認可の承継や労働法関連の問題が複雑になることが多いため、専門的な法的支援が必要となります。

メリット

  • 法的リスクの洗い出しと対策が的確
  • 契約書作成・交渉における専門性が高い
  • 許認可承継手続きに関する知識が豊富
  • 労働者の雇用承継に関する法的サポートが可能
  • トラブル発生時の対応力が高い

デメリット

  • 買い手候補の紹介能力は限定的
  • 企業価値評価の専門知識が不足する場合がある
  • 介護業界の商慣習や特殊性の理解が不十分な場合がある
  • 費用が比較的高額になる傾向
  • M&A全体のプロジェクト管理能力に個人差がある

費用相場

相談料:時間単価15,000円〜30,000円
着手金:50万円〜200万円
成功報酬:取引金額の3〜6%程度

3.3 金融機関

メインバンクや融資先の金融機関は、事業の資金繰りや将来性を把握しており、事業承継に関する相談先として重要な役割を果たします。近年、地域金融機関では事業承継支援に力を入れているところも多くあります。

メリット

  • 事業の財務状況を客観的に評価できる
  • 融資を通じた資金調達支援が可能
  • 地域の企業ネットワークを活用した紹介が期待できる
  • 長期的な取引関係に基づく信頼性
  • 相談費用が無料または低額

デメリット

  • M&A実務の専門知識が限定的
  • 介護業界の専門性に欠ける場合がある
  • 利益相反のリスク(融資回収を優先する可能性)
  • 候補先の範囲が地域に限定される傾向
  • 交渉や契約実務のサポート能力に限界がある

費用相場

相談料:無料〜月額10万円程度
成功報酬:取引金額の1〜3%程度(別途融資手数料が発生する場合あり)

3.4 信頼できる経営者・同業者

介護業界の同業者や信頼できる経営者からのアドバイスは、業界特有の課題や商慣習を理解した実践的な支援として価値があります。特に地域密着型の介護事業では、地域の事情に詳しい経営者の意見が重要となります。

メリット

  • 介護業界の実情を深く理解している
  • 地域の事情や人脈を活用できる
  • 実体験に基づく具体的なアドバイスが得られる
  • 相談費用が不要または少額
  • 継続的な支援や協力が期待できる

デメリット

  • 専門的な法務・税務知識が不足する場合がある
  • 客観的な企業価値評価が困難
  • 利益相反のリスク(競合他社である可能性)
  • 守秘義務の確保が曖昧になる場合がある
  • 感情的な判断に偏る可能性

費用相場

相談料:無料〜お礼程度
成功報酬:なし(ただし、紹介の場合は紹介料として取引金額の1〜2%程度を求められる場合あり)

3.5 M&A仲介会社

M&A仲介会社は、事業承継・売却・M&Aを専門とする最もプロフェッショナルな相談先です。豊富な実績と専門知識を持ち、買い手候補の紹介から契約締結まで一貫したサポートを提供します。

メリット

  • M&A実務に関する豊富な専門知識と経験
  • 広範囲な買い手候補ネットワークを保有
  • 適正な企業価値評価と交渉代行が可能
  • 秘密保持と情報管理が徹底されている
  • 成約までのプロジェクト管理能力が高い
  • 介護業界特化の仲介会社では業界知識が豊富

デメリット

  • 着手金や中間金などの初期費用が高額な場合がある
  • 小規模案件では対応してもらえない場合がある
  • 仲介会社の質や実績に大きな差がある
  • 成功報酬が比較的高額
  • 売り手と買い手の間で利益相反が生じる可能性

費用相場

着手金:0円〜300万円
中間金:0円〜200万円
成功報酬:取引金額の3〜8%程度(最低報酬額:500万円〜2,000万円)

4. 相談先選択のポイント

最適な相談先を選択するためには、以下の要素を総合的に検討する必要があります。

4.1 事業規模と取引金額

小規模な介護事業所(売上高1億円未満)の場合、高額な着手金を要求する大手M&A仲介会社は現実的ではありません。一方、大規模な介護法人の場合、専門性の高い仲介会社の活用が有効です。

4.2 緊急性と時間軸

経営者の健康問題や資金繰りの悪化により急いで事業承継を進める必要がある場合、迅速な対応が可能な仲介会社を選択することが重要です。

4.3 希望する承継形態

親族内承継を希望する場合は税理士、第三者承継を希望する場合は仲介会社というように、承継形態に応じて適切な相談先を選択する必要があります。

4.4 業界特化の専門性

介護業界は許認可や人材確保など特殊な課題が多いため、業界特化の専門知識を持つ相談先を選択することが成功の鍵となります。

5. 費用対効果の考え方

事業承継・M&Aの相談先を選択する際、費用対効果は重要な判断基準の一つです。以下の表は、各相談先の費用対効果を比較したものです。

相談先初期費用専門性成約確率費用対効果
税理士・会計士
弁護士高(法務面)
金融機関
経営者・同業者中(業界面)
M&A仲介会社

重要なポイント

初期費用の高さがネックとなってM&A仲介会社の活用を躊躇する事業者も多いですが、専門性の高さと成約確率の高さを考慮すると、結果的に費用対効果が最も高くなる場合が多いのが実情です。

6. まとめ:最適な相談先を見つけるために

介護業界における事業承継・売却・M&Aの相談先選択は、事業の将来を左右する重要な決断です。各相談先にはそれぞれメリット・デメリットがあり、事業規模や状況に応じて最適な選択は変わります。

特に重要なのは、介護業界の特殊性を理解し、豊富な実績を持つ専門家を選択することです。許認可の承継、人材の確保、利用者の継続的なサービス提供など、介護業界特有の課題に対応できる専門性が成功の鍵となります。

また、費用面での負担軽減も重要な要素です。多くのM&A仲介会社では高額な着手金や中間金が発生するため、中小規模の介護事業者にとって大きな負担となります。

株式会社AMIの優位性

株式会社AMIでは、介護業界に特化したM&A支援サービスを着手金・中間金0円で提供しています。

完全成功報酬制により、成約に至らなかった場合の金銭的リスクを最小限に抑えながら、介護業界の専門知識を活かした質の高いサービスを受けることができます。

「費用負担を抑えながら、専門性の高い支援を受けたい」という介護事業者の皆様にとって、最適な選択肢となります。

事業承継・売却・M&Aの成功は、適切な相談先選択から始まります。複数の選択肢を比較検討し、自社の状況に最も適した専門家を選択することで、理想的な事業承継を実現することが可能です。

特に着手金や中間金の負担なく、介護業界の専門知識を持つプロフェッショナルのサポートを受けることができる環境は、多くの介護事業者にとって大きなメリットとなるでしょう。事業承継でお悩みの際は、まず専門家に相談し、最適な解決策を見つけることをお勧めします。