介護M&Aの流れ|相談から成約まで徹底解説
介護事業のM&Aを検討しているものの、「何から始めればよいのか」「どのような順番で進むのか分からない」と不安を感じている経営者の方は少なくありません。
介護M&Aは、正しい流れを理解して準備を進めることで、事業や職員、利用者への影響を抑えながら進めやすくなります。
本記事では、相談から成約、引き継ぎまでの流れを介護業界ならではのポイントも交えながら分かりやすく解説します。
介護M&Aの流れは全部で8ステップ
介護M&Aは、おおまかに次の流れで進みます。
- M&A仲介会社へ相談
- 企業価値の把握・簡易査定
- 売却方針の決定
- 買い手探し・マッチング
- 基本合意・デューデリジェンス
- 最終契約・クロージング
- 行政手続き
- 引き継ぎ・統合作業
案件によって進行速度は異なりますが、一般的には数か月から1年程度かけて進むケースが多いとされています。なお、スケジュールは事業規模や交渉状況によって大きく変わるため、余裕を持って準備を始めることが重要です。
STEP1 M&A仲介会社へ相談する
介護M&Aは、まず専門の仲介会社へ相談することから始まります。
「まだ売却するか決めていない」という段階でも相談することは珍しくありません。相談では現在の経営状況や将来の希望を整理し、M&Aという選択肢が適しているかを確認します。
相談時に確認する主な内容
- 売却を考えた理由
- 希望する時期
- 後継者の有無
- 従業員の雇用継続希望
- 利用者への影響をどう考えるか
準備しておくとスムーズな資料
- 決算書
- 法人概要
- 事業所一覧
- 職員数
- 利用者数の概要
すべて揃っていなくても相談は可能ですが、資料があるほど現状を把握しやすくなります。
無料相談のご案内
売却を決めていなくても、まずは現在の状況や相場感を知るためのご相談が可能です。介護・医療・障がい福祉分野に特化したM&A承継サポートでは、着手金・中間金無料の完全成功報酬制でご相談いただけます。
STEP2 企業価値の把握・簡易査定
相談後は、介護事業の価値を把握するための査定を行います。
「企業価値」と聞くと難しく感じますが、単純に利益だけで決まるものではありません。
介護事業で評価されやすいポイント
- 収益性
- 稼働率
- 職員の定着状況
- 管理者体制
- 事業所の立地
- 地域での信頼性
- 今後の成長性
介護業界では、利用者数だけでなく、サービス提供体制や人材の安定性も重要な評価項目になります。
査定価格は売却価格ではない
簡易査定で提示される金額は、あくまで現時点での参考値です。
実際の譲渡価格は、買い手との交渉やデューデリジェンスの結果などを踏まえて決定されます。そのため、「査定額=最終売却額」と考えないことが大切です。
STEP3 売却方針を決める
査定結果を確認したら、どのような条件で売却を進めるかを整理します。
価格だけでなく、「誰に引き継ぐか」という視点も重要です。
整理しておきたい主な条件
- 希望譲渡価格
- 希望時期
- 代表者の退任時期
- 従業員の雇用継続
- 事業所名やブランドの継続希望
価格だけで相手を選ばないことが重要
提示価格が高い買い手でも、介護事業の運営方針が合わなければ、職員の離職や利用者サービスへの影響が生じる可能性があります。
介護M&Aでは、事業理念や運営体制との相性も重視して検討することが大切です。
STEP4 買い手探し・マッチング
売却方針が決まると、条件に合う買い手候補を探します。
通常は仲介会社が候補企業へ打診を行い、興味を示した企業との交渉が始まります。
最初は匿名で進める
売却情報は、いきなり会社名を公開するわけではありません。
最初は会社名を伏せた「ノンネームシート(匿名資料)」を用いて買い手候補へ紹介し、興味を持った企業と秘密保持契約(NDA)を締結した後に詳細資料を開示するのが一般的です。
トップ面談で確認すること
買い手候補との面談では、価格交渉だけでなく、今後の事業運営についても話し合います。
- 事業をどのように成長させたいか
- 職員の雇用をどう考えているか
- 利用者へのサービス継続方針
- 代表者の退任・残留希望
この段階では、条件面だけでなく、お互いの考え方や信頼関係も重要になります。
STEP5 基本合意・デューデリジェンス(DD)
買い手との条件がおおむね一致すると、基本合意書を締結します。基本合意書には、譲渡価格の目安や今後のスケジュール、独占交渉権などが盛り込まれることが一般的です。なお、案件によっては基本合意を省略し、最終契約へ進むケースもあります。
デューデリジェンス(DD)とは?
デューデリジェンス(Due Diligence:DD)とは、買い手が売り手企業の実態を詳しく調査する工程です。
「買収監査」とも呼ばれ、財務や法務だけでなく、介護事業特有の運営状況についても確認されます。
介護事業で確認されやすい項目
- 介護保険事業者としての指定状況
- 介護報酬の加算取得状況
- 運営指導・監査の履歴
- 職員の雇用契約や資格状況
- 利用者との契約状況
- 事故・苦情対応の記録
- 未払い残業代など労務上のリスク
この段階で重要なのは、「問題がない会社」であることではありません。
仮に課題があったとしても、事前に正確な情報を共有していれば、解決策を協議しながら成約につながるケースもあります。反対に、後から重要な事実が判明すると、価格の見直しや契約中止につながる可能性があります。
STEP6 最終契約・クロージング
デューデリジェンスが完了し、双方が最終条件に合意すると、最終契約を締結します。
契約書には、譲渡価格だけでなく、譲渡対象や支払方法、引き継ぎ方法など、重要な条件が細かく定められます。
最終契約で確認する主な内容
- 譲渡対象
- 譲渡代金
- 決済日
- 引き継ぎ期間
- 表明保証
- 競業避止義務【要確認】
契約内容は案件によって異なるため、弁護士や税理士など専門家と確認しながら進めることが重要です。
クロージングとは
クロージングとは、契約に基づいて譲渡代金の支払いと経営権の移転が実際に行われる日のことです。
ここでM&Aは一区切りとなりますが、実務上はこの後の引き継ぎも非常に重要な工程になります。
STEP7 行政手続き・引き継ぎ
介護M&Aでは、契約が終わればすべて完了というわけではありません。
介護保険制度に基づく指定事業者であるため、行政への届出や必要な手続きを適切に進める必要があります。手続きの内容は譲渡方法や法人形態によって異なるため、事前に所管自治体へ確認することが重要です。
主な引き継ぎ事項
- 行政への届出・変更手続き
- 利用者への説明
- 職員への説明
- 取引先への連絡
- システム・契約書類の引き継ぎ
職員・利用者への説明時期は慎重に
情報を早く伝えすぎると、不安から退職や利用停止につながる可能性があります。
一方で、伝えるタイミングが遅すぎても混乱を招くことがあります。
中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」でも、秘密保持を徹底しながら、適切なタイミングで関係者へ説明する重要性が示されています。
介護M&Aをスムーズに進めるためのポイント
早めに相談する
「まだ売却するか決めていない」という段階でも相談することで、選択肢を広げやすくなります。
中小企業庁でも、早期に支援機関へ相談することの重要性が示されています。
秘密保持を徹底する
従業員や取引先へ情報が漏れると、経営に大きな影響を与える可能性があります。
そのため、買い手候補との情報共有は秘密保持契約(NDA)を締結したうえで進めることが一般的です。
価格だけで判断しない
譲渡価格は重要ですが、それだけで判断することはおすすめできません。
介護事業では、利用者へのサービス継続や職員の雇用維持も重要な経営課題です。
理念や運営方針が近い買い手を選ぶことで、譲渡後も事業を円滑に引き継ぎやすくなります。
無料相談・無料簡易査定のご案内
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まとめ
介護M&Aは、「相談」「査定」「買い手探し」「デューデリジェンス」「契約」「引き継ぎ」という流れで進みます。
特に介護事業では、職員や利用者への影響を最小限に抑えながら進めることが重要です。そのためには、早い段階から専門家へ相談し、十分な準備を行うことが成功への近道になります。
「まだ売却するか決めていない」という段階でも、無料相談や簡易査定を活用することで、今後の選択肢を整理しやすくなります。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、個別の税務・法務・会計・行政手続きに関する助言を行うものではありません。実際の手続きや契約内容については、弁護士・税理士・公認会計士などの専門家および関係行政機関へご確認ください。
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