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障害福祉事業の売却・M&A完全ガイド

障害福祉事業の経営では、「後継者がいない」「人材確保が難しい」「今後も事業を続けられるか不安」といった悩みを抱える経営者が少なくありません。そのような中、近年注目されているのがM&Aによる事業承継です。M&Aは事業を売却するだけではなく、利用者へのサービス継続や職員の雇用維持につながる可能性がある選択肢でもあります。本記事では、障害福祉事業の売却・M&Aの流れやメリット、売却価格の考え方、失敗しないポイントまで、初めての方にも分かりやすく解説します。

障害福祉事業の売却・M&Aとは

障害福祉事業のM&Aとは、第三者へ事業や会社を引き継ぐことで、事業承継を実現する方法です。

以前は「事業をたたむしかない」と考えられるケースも多くありましたが、現在では後継者不足への対応や事業拡大を目的として、障害福祉分野でもM&Aが広がっています。

また、令和6年(2024年)には、障害福祉サービス事業者等の吸収合併や事業譲渡に関する行政手続きの簡素化について厚生労働省から通知が出されており、円滑な事業承継を後押しする取り組みも進められています。

障害福祉事業でもM&Aが増えている背景

障害福祉業界では、サービス需要が拡大する一方で、人材不足や後継者不足が課題となっています。

特に小規模事業所では、経営者自身が現場業務も兼務しているケースが多く、引退後の事業継続が難しくなることもあります。

そのため、近年では法人規模の拡大を目指す企業や福祉事業者が、M&Aを通じて事業所を引き継ぐケースが増えています。

廃業との違い

事業承継を検討する際、「廃業」と「M&A」のどちらを選ぶべきか迷われる方も少なくありません。

比較項目廃業M&A
利用者サービス終了・転所が必要サービス継続が期待できる
職員退職となる可能性雇用維持が期待できる
経営者清算手続きが必要譲渡対価を得られる可能性

もちろん、すべてのケースで同じ結果になるわけではありませんが、利用者・職員・地域への影響を考えると、M&Aは有力な選択肢の一つといえます。

「障害福祉」と「障がい福祉」は同じ意味

本記事では「障害福祉」「障がい福祉」の両方の表記を使用しています。

行政や自治体、企業によって表記が異なる場合がありますが、基本的には同じ分野を指しています。

障害福祉事業を売却するメリット

障害福祉事業のM&Aは、単に会社を売却するだけではありません。 経営者だけでなく、利用者や職員にとってもメリットが期待できる場合があります。

後継者問題を解決できる

近年、多くの中小企業で後継者不足が課題となっています。

障害福祉事業でも、子どもや親族へ承継する予定がない場合、事業継続そのものが難しくなることがあります。

M&Aで第三者へ承継することで、長年築いてきた事業を次世代へ引き継げる可能性があります。

利用者へのサービス継続につながる

障害福祉サービスは、利用者の日常生活を支える重要な社会インフラです。

廃業した場合、利用者は新たな事業所を探さなければならず、生活への影響が大きくなることもあります。

M&Aで事業が継続されれば、利用者へのサービスを維持できる可能性が高まります。

職員の雇用維持が期待できる

経営者が最も気にされることの一つが、「職員に迷惑をかけたくない」という点です。

M&Aでは、買い手との条件次第ではありますが、現在の職員がそのまま勤務を続けられるケースも少なくありません。

経験豊富な職員が継続して働くことは、利用者にとっても安心につながります。

売却資金を次の人生や新たな挑戦に活用できる

事業売却によって得た資金は、老後資金や新しい事業への投資など、さまざまな目的に活用できます。

もちろん売却価格は事業内容や収益性などによって異なりますが、「廃業して何も残らない」という状況を避けられる可能性があることも、M&Aの大きなメリットです。

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障害福祉事業のM&Aの流れ

M&Aは「買い手を見つけて契約するだけ」というものではありません。円滑な事業承継を実現するためには、段階ごとに適切な準備を進めることが重要です。

① まずは専門家へ相談する

最初に行うのは、障害福祉分野に詳しいM&A仲介会社へ相談することです。

「まだ売却すると決めていない」という段階でも問題ありません。現在の市場価値や、買い手が見つかる可能性などを把握することで、今後の経営判断もしやすくなります。

② 企業価値・事業価値を把握する

次に、自社の企業価値を把握します。

障害福祉事業では、決算書だけでは判断できない要素も多くあります。

  • 利用者数
  • 稼働率
  • 職員体制
  • 加算取得状況
  • 行政指導の有無
  • 地域での評判

これらを総合的に評価し、売却価格の目安を算出します。

③ 買い手候補を探す

条件に合う買い手を探し、匿名資料などを用いて打診を行います。

売却活動では、情報管理が非常に重要です。職員や利用者へ情報が先に伝わると、不安や混乱を招く可能性があるため、秘密保持契約(NDA)を締結した相手にのみ詳細情報を開示するのが一般的です。

④ 条件交渉・トップ面談

買い手候補が見つかったら、経営者同士で面談を行います。

価格だけでなく、次のような条件も重要になります。

  • 職員の雇用を継続する方針か
  • 利用者への支援体制を維持できるか
  • 現在のサービス内容を尊重してもらえるか
  • 引き継ぎ期間をどの程度設けるか

「誰に引き継ぐか」は、売却価格と同じくらい重要なポイントです。

⑤ デューデリジェンス(買収監査)

基本合意後には、買い手が事業内容を詳しく確認する「デューデリジェンス(DD)」が実施されます。

財務状況だけでなく、契約書、人事、労務、指定関係書類なども確認対象となります。

日頃から書類を整理しておくことで、手続きをスムーズに進めやすくなります。

⑥ 最終契約・引き継ぎ

条件がまとまれば最終契約を締結し、事業の引き継ぎを行います。


障害福祉事業では、法人変更や事業譲渡等に伴い、指定権者への手続きが必要となるケースがあります。令和6年(2024年)には、一定の要件を満たす場合に指定申請手続きが簡素化される取扱いが示されました。実際の手続きは自治体によって運用が異なる場合があるため、事前確認が重要です。

障害福祉事業の売却価格は何で決まる?

「いくらで売却できるのか」は、多くの経営者が気になるポイントです。

しかし、売却価格は単純に利益だけで決まるものではありません。

評価項目主な評価ポイント
収益性利益・売上・利益率
利用者利用者数・稼働率・契約継続性
人材管理者・サービス管理責任者などの配置
運営状況加算取得・行政対応・法令順守
地域性競合状況・地域ニーズ

黒字・赤字だけでは判断されない

「赤字だから売れない」と考える必要はありません。

たとえば、人材が充実している事業所や、利用者数が安定している事業所は、将来性を評価されるケースもあります。

一方で、黒字であっても人員不足や指定更新への懸念などがある場合には、評価へ影響することもあります。

障害福祉事業ならではの評価ポイント

  • 管理者・サービス管理責任者の配置状況
  • 各種加算の取得状況
  • 利用者の定着率
  • 行政監査への対応状況
  • 地域での信頼
  • 職員の定着率

これらは決算書だけでは見えにくい価値であり、買い手が重視するポイントでもあります。

「売れるかどうか」ではなく、「どのような強みが評価されるか」を知ることが大切です。
M&A承継サポートでは、障害福祉業界に精通したアドバイザーが無料簡易査定を実施しています。まだ売却を決めていない段階でも、お気軽にご相談ください。

売却前に準備しておきたいこと

M&Aは準備の質によって進み方が大きく変わります。

  • 決算書・試算表を整理する
  • 契約書類を確認する
  • 指定関係書類を整理する
  • 加算算定資料を確認する
  • 職員配置を見直す
  • 秘密保持を徹底する

特に、売却情報が早い段階で広まると、職員や利用者が不安を感じる可能性があります。情報管理は慎重に行うことが重要です。

障害福祉事業のM&Aで失敗しないためのポイント

価格だけで買い手を選ばない

最も高い価格を提示した買い手が、自社にとって最適とは限りません。

事業理念や利用者支援への考え方、職員の処遇なども確認した上で、総合的に判断することが大切です。

利用者・職員への影響を考える

障害福祉事業は「人」が中心となる事業です。

利用者や職員への説明時期、引き継ぎ方法なども事前に計画しておくことで、混乱を抑えやすくなります。

業界に詳しい仲介会社へ相談する

障害福祉事業には、指定制度や加算、人員配置など業界特有の制度があります。

そのため、一般的なM&A会社よりも、障害福祉・介護・医療分野の実績がある仲介会社へ相談することで、よりスムーズな進行が期待できます。

まとめ

障害福祉事業のM&Aは、単に事業を売却するための手段ではなく、利用者へのサービス継続や職員の雇用維持、そして経営者の想いを次世代へ引き継ぐための事業承継の選択肢です。

近年は後継者不足や人材確保の難しさから、障害福祉分野でもM&Aを活用するケースが増えています。また、厚生労働省では吸収合併や事業譲渡等に伴う行政手続きの簡素化を進めており、円滑な事業承継を後押しする制度整備も進められています。

一方で、障害福祉事業の価値は売上や利益だけでは判断できません。利用者との信頼関係、職員体制、加算取得状況、地域での評価など、多くの要素が総合的に評価されます。

そのため、「まだ売却すると決めていない」という段階でも、一度専門家へ相談し、自社の価値や市場での需要を把握しておくことが、将来の選択肢を広げる第一歩になります。

まずは無料相談・無料簡易査定をご活用ください。
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よくある質問(FAQ)

Q. 赤字の障害福祉事業でも売却できますか?

はい。赤字だから売却できないとは限りません。利用者数や稼働率、人材体制、地域での評価などが評価され、買い手が見つかるケースもあります。

Q. 小規模な事業所でもM&Aは可能ですか?

可能です。1事業所のみを運営している法人でも、地域性やサービス内容によっては買い手から評価される場合があります。

Q. 職員へはいつ伝えるべきですか?

一般的には、一定の条件がまとまり、買い手と協議したタイミングで説明するケースが多く見られます。情報が早期に広がると現場へ影響する可能性があるため、慎重な情報管理が重要です。

Q. 売却にはどのくらいの期間がかかりますか?

案件によって異なりますが、買い手探しや条件交渉、デューデリジェンスなどを含めると数か月程度かかるケースが一般的です。一方で、条件が整えば短期間で成約に至る場合もあります。

Q. まだ売却すると決めていませんが相談できますか?

もちろん可能です。現在の相場や売却の可能性を知るためだけの相談でも問題ありません。早めに情報収集を始めることで、将来の選択肢を広げやすくなります。


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松本 圭祐
記事監修
取締役
松本 圭祐
新卒で楽天株式会社に入社し、その後合同会社DMM.comに転職。オンライン英会話サービスの「DMM英会話」の立ち上げを担当し、3年で業界最大手となる。
日本チームのマネージャーを務めた他、新規事業や法人営業なども管掌。その後ヘルスケア・福祉関連の事業を行う上場企業に転職し、M&A支援事業の立ち上げ、グロース全般を担当。
今までにM&Aコンサルタントとして50件以上の案件を成約に導く。
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