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障がい福祉M&A相場|サービス別の価値評価を解説

障がい福祉事業のM&Aを検討する際、多くの経営者が気になるのが「自社はいくらで売却できるのか」という相場ではないでしょうか。しかし、障がい福祉M&Aには一律の価格表はなく、サービス種別や収益性、人材体制、利用者数、地域性などによって企業価値は大きく変わります。本記事では、障がい福祉M&Aの相場や売却価格の考え方、サービス種別ごとの評価ポイント、高く売却するためのポイントまでわかりやすく解説します。

障がい福祉M&Aの相場はどのように決まる?

障がい福祉事業のM&Aでは、「放課後等デイサービスなら○○万円」「就労継続支援B型なら○○万円」といった一律の相場は存在しません。

実際の企業価値は、次のような要素を総合的に判断して算定されます。

  • 純資産
  • 営業利益・EBITDA
  • 将来の収益性
  • 利用率・稼働率
  • 人材体制
  • 加算取得状況
  • 地域での需要
  • 行政上のリスク

そのため、同じ売上規模の事業所でも、売却価格が大きく異なることは珍しくありません。

相場・査定価格・売却価格の違い

「相場」と「査定価格」、「売却価格」は混同されやすい言葉ですが、それぞれ意味が異なります。

用語意味
相場一般的な価格帯の目安
査定価格財務状況や事業内容を踏まえて専門家が算定した企業価値
売却価格買い手との交渉を経て最終的に決定した譲渡価格

インターネット上で紹介されている「相場」はあくまで参考情報です。実際の譲渡価格は、買い手との交渉やデューデリジェンス(詳細調査)の結果によって変動します。

企業価値は「純資産+営業権(のれん)」で考えられることが多い

障がい福祉M&Aでは、企業価値を「純資産」と「営業権(のれん)」の組み合わせで考えるケースが一般的です。

項目内容
純資産現預金・設備・車両などの資産から負債を差し引いた価値
営業権(のれん)収益力、利用者基盤、人材、地域での信頼など目に見えない価値

障がい福祉事業では、有形資産よりも「安定した利用者数」「経験豊富な職員」「継続的な収益」「地域での信頼」といった無形資産が企業価値へ反映されることも少なくありません。

EBITDAは参考指標の一つ

中小企業のM&Aでは、EV/EBITDA倍率が企業価値を検討する際の参考指標として利用されることがあります。

ただし、障がい福祉事業では、指定制度や人員配置、加算取得状況、地域需要など業界特有の要素が企業価値へ大きく影響します。そのため、EBITDA倍率だけで売却価格が決まるわけではありません。

サービス種別ごとの障がい福祉M&A相場・価値評価の目安

障がい福祉サービスは、事業内容によって収益構造や必要な人員配置が異なります。そのため、買い手が重視するポイントもサービス種別ごとに変わります。

サービス種別企業価値へ影響しやすいポイント買い手が特に確認する内容
放課後等デイサービス利用率・送迎体制利用児童数・職員配置
児童発達支援地域需要利用者推移・保護者からの評価
就労継続支援A型収益性生産活動・人件費
就労継続支援B型利用者定着工賃・作業内容
共同生活援助入居率世話人確保・空室率
生活介護利用率人員配置・送迎体制

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスは、障がい福祉M&Aの中でも比較的取引件数が多いサービスです。

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定では、児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて評価体系や加算の見直しが実施されました。そのため、現在は利用率だけでなく、支援の質や人員配置、加算取得状況なども企業価値へ影響する重要な要素となっています。

買い手が特に確認するポイント

  • 利用児童数が安定しているか
  • 稼働率が高いか
  • 送迎体制が効率化されているか
  • 児童指導員・保育士など必要人員を確保できているか
  • 地域で安定した集客ができているか

児童発達支援

児童発達支援では、地域のニーズや関係機関との連携状況、保護者からの信頼などが企業価値へ影響します。

買い手が特に確認するポイント

  • 利用児童数の推移
  • 相談支援事業所との連携
  • 療育プログラムの内容
  • 職員の定着率

就労継続支援A型

就労継続支援A型では、生産活動による収益性だけでなく、安定した事業運営ができているかも重要な判断材料になります。

また、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定では、就労継続支援A型・B型に関する報酬や運営基準の見直しも行われており、売却時には最新の制度に対応した運営体制が企業価値へ影響する可能性があります。

買い手が特に確認するポイント

  • 生産活動による売上・利益
  • 利用者数の推移
  • 職員配置が適切か
  • 受注先との契約状況
  • 収益構造が継続できるか

就労継続支援B型

就労継続支援B型では、利用者の定着率や地域との連携体制が重視されます。工賃水準だけではなく、継続的にサービスを提供できる体制が整っているかも企業価値に影響します。

買い手が特に確認するポイント

  • 平均利用率
  • 工賃の実績
  • 地域企業との連携
  • 生産活動の安定性
  • 利用者の継続率

就労移行支援

就労移行支援では、一般就労への移行実績や企業とのネットワーク、支援ノウハウなどが評価される傾向があります。

買い手が特に確認するポイント

  • 一般就労への移行実績
  • 企業との連携状況
  • 支援プログラムの内容
  • 相談支援機関との連携

共同生活援助(グループホーム)

共同生活援助(グループホーム)は、近年も買い手からの需要が高いサービスの一つです。入居率や空室率に加え、世話人やサービス管理責任者など必要な人材を安定して確保できているかが企業価値に大きく影響します。

買い手が特に確認するポイント

  • 入居率・空室率
  • 世話人の配置状況
  • サービス管理責任者の継続勤務
  • 夜間支援体制
  • 建物の契約条件

生活介護

生活介護では、利用率や送迎体制、重度利用者への支援体制などが確認されます。地域で安定した利用者を確保できている事業所は、将来的な収益性も期待されやすくなります。

買い手が特に確認するポイント

  • 利用率
  • 送迎体制
  • 重度利用者への対応
  • 職員配置
  • 地域での認知度

障がい福祉M&Aで高く売却するためのポイント

売却価格は市場環境だけで決まるものではありません。売却前に事業内容を見直すことで、企業価値の向上につながる場合があります。

加算取得状況を整理する

取得できる加算を適切に算定している事業所は、安定した収益が期待できるため、買い手から評価されやすい傾向があります。

人材体制を安定させる

サービス管理責任者や管理者など、運営に欠かせない人材が継続勤務していることは、買い手に安心感を与える要素です。

利用率・稼働率を改善する

利用率が高く安定している事業所は、将来的な収益予測が立てやすく、企業価値にも反映されやすくなります。

売却タイミングを見極める

経営状況が大きく悪化してからではなく、利用者数や収益が安定している段階で相談を始めることで、選択肢が広がるケースがあります。

無料簡易査定のご案内
「今すぐ売却する予定はないが、自社の相場だけ知りたい」というご相談も可能です。M&A承継サポートでは、介護・医療・障がい福祉分野に特化した知見をもとに、無料簡易査定を承っています。相場感を把握したうえで、売却時期を検討することもできます。

相場より売却価格が高くなるケース・低くなるケース

障がい福祉M&Aでは、同じサービス種別であっても、事業所ごとの状況によって最終的な売却価格は大きく異なります。ここでは、価格に影響しやすい主なポイントをご紹介します。

売却価格が高くなりやすいケース

  • 複数拠点を安定して運営している
  • 利用率・稼働率が高い状態を維持している
  • サービス管理責任者や管理者など主要人材が定着している
  • 各種加算を適切に取得している
  • 地域で一定の知名度や紹介ルートが確立されている
  • 行政指導や返還リスクが少ない

これらの要素は、買い手が「事業を引き継いだ後も安定して運営できるか」を判断する材料となります。

売却価格が低くなる可能性があるケース

  • 利用者数が継続的に減少している
  • 慢性的な人材不足が続いている
  • 主要職員の退職予定がある
  • 行政指導や返還リスクを抱えている
  • 設備更新や大規模修繕が必要な状態である

ただし、これらに該当する場合でも、地域性や買い手の戦略によっては譲渡が成立するケースがあります。そのため、「売れない」と自己判断せず、専門家へ相談することが重要です。

査定前に準備しておきたい資料

無料査定や売却相談をスムーズに進めるためには、以下の資料を準備しておくと企業価値を把握しやすくなります。

  • 直近3期程度の決算書・試算表
  • 利用者数・利用率の推移
  • 職員一覧・有資格者情報
  • 加算取得状況
  • 指定通知書など事業所情報
  • 賃貸借契約書(グループホーム等の場合)

すべて揃っていなくても相談できるケースが多いため、まずは現時点で用意できる資料をもとに相談するとよいでしょう。

障がい福祉M&Aの相場についてよくある質問

赤字でも売却できますか?

はい。赤字であっても、人材体制や利用者基盤、地域での需要などが評価され、譲渡につながるケースがあります。

1施設だけでも売却できますか?

可能です。単独施設のM&Aも行われています。

地方の事業所でも売却できますか?

地域によって買い手のニーズは異なりますが、地方でもM&Aが成立するケースはあります。

無料査定を受けたら売却しなければいけませんか?

いいえ。査定のみで終了することも可能です。現在の企業価値や相場感を把握する目的で利用する経営者も多くいます。

まとめ

障がい福祉M&Aの相場は、サービス種別だけで決まるものではありません。収益性、人材体制、利用率、加算取得状況、地域性などを総合的に判断して企業価値が算定されます。

また、最終的な売却価格は買い手との交渉によって決定されるため、インターネット上の相場だけで判断するのではなく、専門家による査定を受けることが大切です。

※本記事は一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の税務・法務・会計・行政手続きに関する判断については、税理士・弁護士・行政書士などの専門家へご相談ください。

まずはお気軽にお問い合わせください。

松本 圭祐
記事監修
取締役
松本 圭祐
新卒で楽天株式会社に入社し、その後合同会社DMM.comに転職。オンライン英会話サービスの「DMM英会話」の立ち上げを担当し、3年で業界最大手となる。
日本チームのマネージャーを務めた他、新規事業や法人営業なども管掌。その後ヘルスケア・福祉関連の事業を行う上場企業に転職し、M&A支援事業の立ち上げ、グロース全般を担当。
今までにM&Aコンサルタントとして50件以上の案件を成約に導く。
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