介護事業の売却相場【2026年版】業態別に解説
介護事業の売却相場は、「○○万円」と一律に決まるものではありません。事業の種類や収益性、利用者数、人材体制、保有資産、地域性など、さまざまな要素を総合的に評価して譲渡価格が決まります。さらに2026年時点では、介護サービス事業者経営情報制度の運用や介護事業を取り巻く環境の変化も進んでおり、事業価値を適切に把握する重要性が高まっています。本記事では、介護事業の売却相場の考え方や業態別の特徴、価格を左右するポイント、高く売却するための準備について分かりやすく解説します。
介護事業の売却相場はいくら?
「介護事業はいくらで売れるのか」という疑問を持つ経営者は少なくありません。しかし、介護事業のM&Aには「相場価格表」のようなものは存在せず、同じ業態でも譲渡価格が大きく異なるケースがあります。
その理由は、財務状況だけでなく、利用者基盤や人材、地域性、行政対応など、多面的な評価が行われるためです。そのため、インターネット上で見つけた価格だけを参考に売却価格を判断することはおすすめできません。
売却価格は「一律○円」では決まらない
例えば、同じデイサービスであっても、次のような要素によって企業価値は変わります。
- 営業利益・EBITDA
- 利用率・入居率
- 利用者数の推移
- 職員の定着率
- 管理者や有資格者の継続勤務
- 土地・建物の所有状況
- 行政指導の有無や指定更新状況
- 地域の需要や競合状況
つまり、「同じ業態だから同じ価格」ということはなく、それぞれの事業所ごとに適正な企業価値が算定されます。
介護M&Aで一般的な価格の考え方
中小企業のM&Aでは、企業価値を算定する際に「純資産」と「将来生み出す利益」の両方を考慮する方法が一般的です。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 純資産 | 現金・設備・建物などの資産から負債を差し引いた価値 |
| EBITDA | 営業利益に減価償却費などを加えた利益指標 |
| のれん(営業権) | 利用者基盤・人材・ブランドなど目に見えない価値 |
なお、M&A支援機関登録制度が公表している成約データでは、「社会保険・社会福祉・介護事業」のEV/EBITDA倍率の中央値は約9.0倍となっています。ただし、これは実際の成約案件を集計した中央値であり、すべての介護事業に当てはまる相場ではありません。事業規模や収益性、地域性などによって評価倍率は大きく異なります。
相場はどのように計算される?
介護事業の売却価格は、単純に利益だけで決まるわけではありません。一般的には次のような考え方で企業価値が検討されます。
企業価値 = 純資産 + EBITDA × 評価倍率 + 営業権(のれん)
評価倍率は業種や企業規模、成長性、買い手との相乗効果(シナジー)などによって変動します。そのため、同じ利益水準でも売却価格が異なることは珍しくありません。
【業態別】介護事業の売却相場の目安
介護サービスは業態によって収益構造や運営方法が異なるため、M&A市場で重視されるポイントも変わります。
| 業態 | 評価されやすいポイント | 価格へ影響する要素 |
|---|---|---|
| デイサービス | 利用率・送迎体制 | 稼働率・地域需要 |
| 訪問介護 | ヘルパー確保 | サービス提供体制 |
| 住宅型・介護付き有料老人ホーム | 入居率 | 建物・設備・収益性 |
| グループホーム | 安定した運営 | 入居率・人材体制 |
| 居宅介護支援 | ケアマネジャー | 担当件数・継続性 |
| 小規模多機能 | 地域密着性 | 利用者数・運営体制 |
公開されている成約事例を見ても、同じ業態で価格帯が大きく異なるケースは珍しくありません。そのため、「デイサービスなら○○万円」といった一律の目安ではなく、自社の状況を踏まえた個別査定が重要になります。
介護事業の売却価格を左右する6つのポイント
買い手は利益だけではなく、「買収後も安定して運営できるか」という視点で事業を評価します。特に次の6つは企業価値へ大きく影響します。
① 営業利益・EBITDA
利益が安定している事業所は、将来的な収益を見込みやすいため、買い手から評価される可能性があります。
② 利用率・入居率
利用率や入居率が安定していることは、継続的な収益につながる重要な要素です。
③ 人材の定着率
介護業界では人材不足が課題となっているため、経験豊富な職員が継続勤務していることは、買い手にとって大きな安心材料となります。
④ 管理者・有資格者の引継ぎ
管理者やサービス提供責任者、ケアマネジャーなどが引き続き勤務できる体制は、円滑な事業承継につながるためプラス要素となるケースがあります。
⑤ 土地・建物の所有状況
土地や建物を所有している場合は、資産価値が企業価値へ反映される可能性があります。一方で、賃貸物件であっても立地条件が良く、安定した運営実績があれば評価されるケースもあります。
⑥ 行政対応・指定更新状況
介護事業は行政指定のもと運営されているため、指定更新の状況や運営基準の遵守状況も重要な確認項目です。また、2024年度から開始された「介護サービス事業者経営情報制度」により、経営情報の報告・分析が進められており、経営の透明性もこれまで以上に重視されています。
買い手は価格以外に何を見ている?
「利益が出ているから高く売れる」と考えられがちですが、実際のM&Aでは利益以外にもさまざまな要素が評価されます。特に介護事業では、買収後も安定したサービス提供を継続できるかどうかが重視されます。
| 買い手が確認するポイント | 評価される理由 |
|---|---|
| 施設長・管理者が継続勤務できる | 運営の引継ぎがスムーズになるため |
| 離職率が低い | 人材不足のリスクを抑えられるため |
| 利用率・入居率が安定している | 将来の収益を見込みやすいため |
| 行政指導がない | コンプライアンス面の安心感につながるため |
| 地域で一定の認知度がある | 利用者確保につながる可能性があるため |
例えば、利益水準が平均的な事業所であっても、管理者や主要職員が引き続き勤務できる体制が整っていたことで、買い手からプラスの評価を受けるケースがあります。一方で、利益が出ていても人材流出のリスクが高い場合は、慎重に評価されることもあります。
【無料簡易査定のご案内】
介護事業の売却相場は、インターネット上の情報だけでは判断できません。M&A承継サポートでは、介護・医療・障がい福祉分野に特化し、事業内容や収益性、人材体制などを踏まえて無料簡易査定を行っています。売却を決めていない段階でも、「まずは現在の市場価値を知りたい」という方はお気軽にご相談ください。
赤字でも介護事業は売却できる?
「赤字だから売却は難しい」と考える方もいますが、赤字という理由だけで売却できないとは限りません。
介護業界では、後継者不足への対応や新規エリアへの進出を目的としてM&Aを行う法人も多く、現在の利益だけではなく、利用者基盤や人材、将来性を評価して買収を検討するケースがあります。
赤字でも譲渡できるケース
- 利用者数が安定している
- 職員の定着率が高い
- 管理者や有資格者が継続勤務できる
- 地域で一定の知名度がある
- 買い手とのシナジーが期待できる
例えば、買い手が近隣で複数施設を運営している場合、本部機能や採用活動を共有することで経営効率の改善が期待できるケースがあります。このような相乗効果が見込まれる場合、現在の利益だけでは測れない価値が評価されることもあります。
介護事業を少しでも高く売却するコツ
売却価格は交渉だけで決まるものではなく、売却前の準備によって評価が変わることがあります。
① 売却準備は早めに始める
引退直前ではなく、余裕を持って準備を進めることで、決算内容や契約書類、人員体制などを整理しやすくなります。
② 利用率・入居率を維持する
安定した利用率は継続的な収益につながるため、買い手にとって安心材料となります。
③ 職員の定着率を高める
介護業界では人材確保が大きな課題です。離職率を抑え、経験豊富な職員が在籍していることは企業価値を支える重要な要素になります。
④ 必要書類を整理しておく
- 決算書
- 利用者数の推移
- 介護報酬実績
- 職員名簿
- 賃貸借契約書・各種契約書
- 設備一覧
事前に資料を整理しておくことで、デューデリジェンス(買収監査)が円滑に進みやすくなります。
⑤ 介護業界に強いM&A仲介会社へ相談する
介護事業は指定制度や人員配置基準など、他業種にはない確認事項があります。業界特有の論点を理解している仲介会社へ相談することで、自社に合った買い手を見つけやすくなり、スムーズな手続きにつながる可能性があります。
介護事業の売却相場に関するよくある質問
相場だけ知ることはできますか?
はい。売却を決めていない段階でも、無料簡易査定を利用して現在のおおよその市場価値を把握することは可能です。ただし、正式な譲渡価格は財務内容や事業状況、買い手との交渉などを踏まえて決定されます。
査定だけでも相談できますか?
もちろん可能です。実際には「今すぐ売却する予定はないが、相場だけ知っておきたい」という相談も多くあります。相場を知ることで、今後の経営や事業承継の判断材料にもなります。
地方の介護事業でも売却できますか?
地方であっても売却できる可能性はあります。近隣エリアへの進出を目指す法人や、既存施設との相乗効果(シナジー)を期待する買い手が見つかるケースもあるため、所在地だけで売却を諦める必要はありません。
赤字でも売却できますか?
赤字という理由だけで売却が難しくなるとは限りません。利用者基盤や人材、立地、地域での信頼性などが評価され、譲渡につながるケースもあります。
売却までにはどれくらいの期間がかかりますか?
案件によって異なりますが、一般的には数か月程度かけて進められることが多くあります。一方で、買い手との条件が早期にまとまった場合には、短期間で成約に至るケースもあります。
【無料相談・無料簡易査定】
介護事業の売却相場は、インターネット上の情報だけでは判断できません。M&A承継サポートでは、介護・医療・障がい福祉分野に特化し、成約実績100件以上のメンバーがご相談を承っています。着手金・中間金無料の完全成功報酬制のため、「まずは現在の相場だけ知りたい」という段階でもお気軽にご相談ください。
まとめ
介護事業の売却相場は、業態だけで決まるものではなく、利益や利用率、人材体制、保有資産、地域性など複数の要素を踏まえて総合的に判断されます。そのため、「デイサービスなら○○万円」といった一律の価格基準はありません。
また、赤字であっても将来性や買い手とのシナジーが期待できれば、譲渡につながる可能性があります。重要なのは、インターネット上の一般的な相場ではなく、自社の状況に合わせた企業価値を把握することです。
介護事業の売却を検討されている方は、まずは専門家による査定を受け、現在の市場価値を確認したうえで、最適なタイミングや売却方法を検討するとよいでしょう。
免責事項
本記事は、介護事業のM&Aに関する一般的な情報提供を目的として作成しています。税務・法務・会計・行政手続きなどについては、個別の事情によって判断が異なります。実際の売却や契約にあたっては、税理士・弁護士・公認会計士・行政書士などの専門家へご相談ください。
まずはお気軽にお問い合わせください。

