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介護M&A 名義変更|指定申請と行政手続きを解説

介護M&Aにおける「名義変更」は、会社名や代表者の変更だけを指すものではありません。介護事業所の指定に関する届出、各種契約の引継ぎ、利用者への対応など、多くの実務が関係します。さらに、株式譲渡と事業譲渡では必要となる行政手続きが大きく異なるため、事前に全体像を把握しておくことが重要です。本記事では、介護M&Aにおける名義変更の基本から、指定申請・行政手続き・スケジュールまで、実務の流れに沿って分かりやすく解説します。

介護M&Aの名義変更とは?まず知っておきたい基本

「介護M&Aの名義変更」と聞くと、法人名や代表者を変更する手続きをイメージする方が多いかもしれません。しかし実際には、介護事業を継続するために必要な届出や契約変更など、さまざまな実務をまとめて進める必要があります。

また、必要となる手続きは採用するM&Aスキームによって異なります。特に株式譲渡と事業譲渡では、介護事業所の指定や契約の取扱いが大きく変わるため、違いを理解しておくことが重要です。

名義変更が必要になる主な項目

介護M&Aでは、次のような項目について変更や届出が必要になる場合があります。

  • 法人情報(代表者・商号・本店所在地など)
  • 介護事業所の指定に関する変更届・指定申請
  • 介護保険請求に関する登録情報
  • 銀行口座
  • 賃貸借契約・リース契約
  • 保険契約
  • 利用者との契約
  • 従業員の社会保険・労働保険
  • ホームページ・パンフレットなどの法人情報

どの手続きが必要になるかは、M&Aの方法や法人の状況によって異なります。そのため、契約締結後ではなく、基本合意の段階から整理を始めることが望ましいでしょう。

名義変更と指定申請は別の手続き

介護事業では、「法人情報の変更」と「介護事業所の指定に関する手続き」は区別して考える必要があります。

例えば、株式譲渡では株主が変わっても法人自体は変わらないため、指定そのものは維持されることが一般的です。一方で、代表者や役員など一定事項に変更があれば、介護保険法に基づく変更届が必要となる場合があります。

反対に、事業譲渡では事業を別法人へ承継するため、新たな指定申請が必要となるケースが一般的です。ただし、具体的な取扱いはサービス種別や自治体ごとの運用によって異なるため、事前に指定権者へ確認することが重要です。

名義変更だけでは済まないケースとは

「名義変更だけすればM&Aは完了する」と考えるのは危険です。実際には、次のような対応も必要になることがあります。

  • 利用者との契約内容の確認・再締結
  • ケアマネジャーや関係機関への案内
  • 介護報酬の体制届・加算届
  • 職員の雇用契約や社会保険手続き
  • 銀行やリース会社との契約変更

これらを漏れなく進めるためには、行政手続きだけでなく、契約・労務・会計まで含めた全体スケジュールを作成しておくことが大切です。

株式譲渡と事業譲渡で行政手続きはどう違う?

M&Aのスキームによって、必要となる実務や届出の量は大きく異なります。特に介護事業では、指定制度との関係から、どちらのスキームを選択するかがその後の準備に大きく影響します。

比較項目株式譲渡事業譲渡
法人変わらない変わる
介護事業所の指定法人が同一であれば指定は維持されることが一般的新たな指定申請が必要となることが一般的【要確認】
利用者契約継続されることが多い契約の再締結等が必要になる場合がある
行政への届出変更届など指定申請・変更届など比較的多い
契約関係包括的に承継個別承継

株式譲渡の場合

株式譲渡では、会社そのものは存続し、株主だけが変わります。そのため、法人が保有する介護事業所の指定は維持されることが一般的です。

ただし、代表者や役員などの変更がある場合には、指定権者への変更届や関連する届出が必要になることがあります。また、金融機関や契約先への変更手続きも忘れずに確認しましょう。

事業譲渡の場合

事業譲渡では、事業を別法人へ移転するため、新たな法人が介護サービスを提供することになります。そのため、新たな指定申請や契約の引継ぎなど、多くの実務が発生することが一般的です。

必要書類や受付期間は自治体によって異なるため、M&Aの検討段階から指定権者へ相談し、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。

介護M&Aで必要になる主な手続き

介護M&Aでは、最終契約を締結しただけで手続きが完了するわけではありません。事業を継続して運営するためには、指定権者への届出や契約変更など、多くの実務対応が必要になります。

必要な内容はM&Aのスキームや事業所の状況によって異なるため、早い段階から「何を・いつまでに・誰が行うか」を整理しておくことが重要です。

介護事業所の指定・指定申請

介護サービスを提供するには、介護保険法に基づく指定を受ける必要があります。

株式譲渡では法人が同一であるため、指定自体は維持されることが一般的ですが、代表者や役員など一定事項に変更がある場合には変更届が必要となることがあります。

一方、事業譲渡では別法人へ事業が承継されるため、新たな指定申請が必要となるケースが一般的です。ただし、具体的な取扱いはサービス種別や指定権者の運用によって異なるため、必ず事前に確認しましょう。

近年は厚生労働省が「電子申請・届出システム」を整備しており、多くの自治体でオンライン申請の利用が進められています。ただし、利用開始時期や受付方法は自治体によって異なるため、最新情報を確認することが大切です。

法人情報・登記事項の変更

代表者・商号・所在地などが変更となる場合は、法務局での登記変更が必要になります。

また、登記完了後は次のような契約先への変更手続きも忘れないようにしましょう。

  • 金融機関
  • 賃貸借契約
  • リース契約
  • 損害保険・火災保険
  • 電話・インターネット契約

変更届・体制届・加算届

指定後に一定事項へ変更が生じた場合は変更届の提出が必要です。

また、人員配置や介護報酬上の体制が変更となる場合には、体制届や加算届の提出が必要になることがあります。提出期限や必要書類は自治体によって異なるため、指定権者の案内を確認しましょう。

利用者・ケアマネジャーへの対応

M&A後も利用者が安心してサービスを利用できるよう、適切な情報共有が重要です。

特に次の事項は早めに説明しておくと安心につながります。

  • 法人名や代表者の変更
  • サービス内容に変更があるか
  • 担当職員の変更有無
  • 契約書の取扱い
  • 問い合わせ先

また、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなど、関係機関への連絡も忘れずに行いましょう。

従業員に関する手続き

職員の雇用や労務管理に関する対応も重要です。

  • 社会保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 給与振込情報
  • 就業規則
  • 雇用契約

特に事業譲渡では、雇用契約の承継方法を事前に整理しておくことで、クロージング後の混乱を防ぎやすくなります。

行政手続きのスケジュール

介護M&Aでは、行政への相談を後回しにすると、予定どおりに事業を開始できない可能性があります。契約締結前からスケジュールを整理しておくことが重要です。

介護M&Aのスケジュール例

タイミング主な対応
基本合意指定権者への事前相談を開始
デューデリジェンス必要書類・届出を整理
最終契約提出スケジュールを確定
クロージング変更届・指定申請などを実施
運営開始後利用者・関係機関へ案内

実務で漏れやすいチェックリスト

介護M&Aでは、次のような項目が見落とされやすいため、事前にチェックリストを作成しておくことをおすすめします。

  • □ 指定権者への事前相談
  • □ 変更届・指定申請
  • □ 体制届・加算届
  • □ 利用者への説明
  • □ ケアマネジャーへの案内
  • □ 銀行口座変更
  • □ リース契約変更
  • □ 社会保険・雇用保険手続き
  • □ ホームページ・パンフレット更新

無料相談のご案内
介護M&Aでは、事業内容やスキームによって必要となる届出や準備が異なります。「自社では何から始めればよいのか分からない」という場合は、お気軽に無料相談をご利用ください。状況を整理したうえで、必要な手続きや進め方をご案内いたします。

手続きを円滑に進めるための3つのポイント

介護M&Aでは、契約締結だけでなく、その後の届出や契約変更まで見据えて準備することが重要です。ここでは、実務上特に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。

1. 指定権者への相談はできるだけ早く行う

介護事業は指定制度に基づいて運営されているため、指定権者との事前相談が重要です。特に事業譲渡では、新たな指定申請が必要となるケースが一般的であり、必要書類や受付時期は自治体によって異なります。

また、変更届や指定申請は電子申請・届出システムに対応している自治体も増えていますが、運用状況は自治体ごとに異なります。最新の案内を確認し、余裕を持って準備を進めましょう。

2. スキーム選定を行政手続きも踏まえて検討する

M&Aでは、価格や条件だけでなく、その後の実務負担も重要な判断材料です。

重視したいこと検討のポイント
手続きをできるだけ少なくしたい株式譲渡が適している場合がある
一部事業のみ譲渡したい事業譲渡が選択肢となる
利用者への影響を抑えたい契約や説明方法も含めて検討する

どの方法が最適かは、法人の状況や事業内容によって異なります。価格だけで判断するのではなく、手続きや運営面まで含めて検討することが大切です。

3. 専門家と連携して進める

介護M&Aでは、M&A仲介会社だけでなく、司法書士・行政書士・税理士・社会保険労務士など、複数の専門家が関わることがあります。

それぞれの専門分野を連携させることで、届出漏れやスケジュールの遅延を防ぎやすくなります。

よくある質問(FAQ)

株式譲渡では介護事業所の指定はそのままですか?

一般的には法人が変わらないため、指定は維持されます。ただし、代表者や役員など一定事項に変更がある場合は、変更届が必要となることがあります。

事業譲渡では新しい指定申請が必要ですか?

別法人へ事業を承継する場合は、新たな指定申請が必要となることが一般的です。ただし、サービス種別や自治体の運用によって異なるため、事前確認が必要です。【要確認】

行政への相談はいつ頃から始めるべきですか?

基本合意後からデューデリジェンスの期間中に相談を始めると、必要書類やスケジュールを整理しやすくなります。

名義変更だけ済ませれば事業は引き継げますか?

いいえ。指定申請や変更届、契約変更、利用者への説明、従業員の手続きなど、状況に応じてさまざまな対応が必要になります。

まとめ

介護M&Aにおける名義変更は、法人情報だけでなく、介護事業所の指定、各種届出、契約変更など幅広い実務を含みます。

また、株式譲渡と事業譲渡では必要となる手続きが異なるため、M&Aの初期段階から全体のスケジュールを整理し、指定権者や専門家と連携しながら進めることが重要です。

※本記事は一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の法務・税務・労務・行政手続きについては、所管行政や各分野の専門家へご確認ください。

まずはお気軽にお問い合わせください。

松本 圭祐
記事監修
取締役
松本 圭祐
新卒で楽天株式会社に入社し、その後合同会社DMM.comに転職。オンライン英会話サービスの「DMM英会話」の立ち上げを担当し、3年で業界最大手となる。
日本チームのマネージャーを務めた他、新規事業や法人営業なども管掌。その後ヘルスケア・福祉関連の事業を行う上場企業に転職し、M&A支援事業の立ち上げ、グロース全般を担当。
今までにM&Aコンサルタントとして50件以上の案件を成約に導く。
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