M&Aコラム

トップ > M&Aコラム > 障がい福祉M&A > 障がいM&A仲介会社の選び方|相談先の7基準

障がいM&A仲介会社の選び方|相談先の7基準

障がいM&Aの仲介会社は、知名度や成約件数だけで選ぶのではなく、障がい福祉分野の支援経験、指定・報酬制度への理解、買い手候補、手数料、秘密保持などを比較することが重要です。本記事では、障害福祉M&Aの相談先の違いと、初回相談で専門性を見極める質問、仲介契約前の確認点を解説します。

障がいM&A仲介会社を選ぶ7つの基準

障がい福祉事業のM&Aを相談するときは、次の7項目を確認しましょう。

  1. 障がい福祉M&Aの具体的な支援経験
  2. 自社と同じサービス種別・規模への対応経験
  3. 買い手候補の数と具体的な買収ニーズ
  4. 指定・人員配置・加算・減算への理解
  5. 行政手続きやデューデリジェンスを含む支援範囲
  6. 手数料と仲介契約の分かりやすさ
  7. 秘密保持と担当者の信頼性

「障がい福祉に特化している」「買い手候補が多い」といった説明だけで決めず、その根拠を質問することが大切です。可能であれば複数社へ同じ条件を伝え、提案内容、査定根拠、支援範囲、費用を比較しましょう。

障がい福祉に詳しい仲介会社が必要な理由

事業譲渡では原則として新規指定が必要

障がい福祉事業のM&Aでは、株式会社の株式を引き継ぐ株式譲渡や、特定の事業所・資産・契約などを引き継ぐ事業譲渡が用いられます。

株式譲渡では法人自体が存続します。一方、事業譲渡、吸収合併、会社分割などによって運営法人が変わる場合は、譲受法人が運営する事業所として、原則として新規指定を受ける必要があります。

厚生労働省とこども家庭庁は、2024年6月21日付の事務連絡で、合併・会社分割・事業譲渡などの前後で事業所が実質的に継続して運営されると認められる場合、指定申請書類の簡素化や、過去の実績に基づく基本報酬・加算・減算の実績通算を行う取扱いを示しています。

ただし、簡素化の適用可否、提出書類、事前相談の期限などは指定権者へ確認しなければなりません。売買契約の日程だけを先に決めると、予定する承継日までに新規指定が間に合わない可能性があります。

譲渡方法ごとの違いは、関連記事「障がいM&A|事業譲渡と株式譲渡を比較」でも解説しています。

人員配置や加算の状況も評価される

買い手は決算書だけでなく、サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者などの配置、常勤換算、加算の算定根拠、減算、過誤請求、運営指導の指摘事項なども確認します。

例えば、現在は利益が出ていても、特定の職員が退職することで人員基準や加算要件を満たせなくなる場合、買い手は承継後の収支に影響が出る可能性を考慮します。反対に、一時的な採用費や開設費で赤字になっていても、利用実績や職員体制などが評価され、買い手の検討対象になることがあります。

障害福祉サービス等の報酬・加算・減算は改定されるため、M&Aを実施する時点の最新制度で確認する必要があります。2026年6月には令和8年度障害福祉サービス等報酬改定が施行されています。

利用者と職員への影響にも配慮が必要

障がい福祉事業の承継では、価格だけでなく、利用者への支援、職員の雇用、相談支援事業所や医療機関との関係をどう引き継ぐかも重要です。

検討初期に売却情報が広がると、職員の不安や退職、利用者・家族の混乱につながる可能性があります。初期段階では法人名や詳細な住所を伏せた匿名資料を使用し、売り手の承諾を得ながら情報開示先を広げる方法があります。

誰に、いつ、どこまで情報を開示するのか、買い手候補との秘密保持契約をどの段階で締結するのかを説明できる仲介会社を選びましょう。

障がいM&Aの主な相談先を比較

相談先主な特徴確認したい点
障がい福祉特化型の仲介会社制度や現場を踏まえた支援が期待できるサービス別の実績、担当者の経験、指定手続きへの対応
総合型M&A仲介会社幅広い業種・地域の買い手と接点を持つ場合がある担当者本人の障がい福祉M&A経験
FA売り手または買い手の一方と契約して助言する買い手探索の範囲と報酬体系
税理士・弁護士等税務・法務などの専門的な助言を受けられる相手探しや条件交渉まで対応するか
金融機関・公的支援機関地域の事業承継について相談しやすい障がい福祉の専門性と実務支援の範囲
M&Aマッチングサイト自ら買い手候補を探せる情報管理、条件交渉、契約を誰が支援するか

M&A仲介会社は、売り手と買い手の双方と契約して両者の間に立つ形が一般的です。FAは一方当事者と契約し、その依頼者に助言します。仲介会社へ依頼するときは、買い手からも手数料を受け取るのか、利益相反の可能性をどのように説明・管理するのかも確認してください。

障がい福祉特化型には業界理解の面で強みが期待できますが、「特化型」と掲げているだけで十分とは限りません。同じサービス種別の支援経験と担当者の知識まで確認しましょう。

障がいM&A仲介会社を比較するポイント

1.実績は件数ではなく内容を見る

「M&A成約実績○件」という数字には、他業種、大規模案件、買い手側の支援などが含まれている可能性があります。確認したいのは自社に近い案件の経験です。

  • 就労継続支援A型・B型、生活介護、共同生活援助、放課後等デイサービスなど、同じサービスの経験があるか
  • 株式譲渡と事業譲渡のどちらを支援したことがあるか
  • 同程度の売上、利益、事業所数の案件を扱っているか
  • 赤字、小規模、複数事業所など、自社と近い課題に対応しているか
  • 提示された数字が相談件数、受託件数、成約件数のどれか

守秘義務によって社名や価格を公開できなくても、サービス種別、地域、規模、譲渡方法などを匿名化して説明できる場合があります。

2.制度理解は具体的な質問で確かめる

「障がい福祉に詳しいですか」と聞くだけでなく、次のように質問しましょう。

  • 事業譲渡の場合、指定権者への事前相談をいつ行うか
  • 加算・減算や過誤請求をどの段階で確認するか
  • サービス管理責任者が退職予定の場合、買い手へどう説明するか
  • 運営指導の指摘事項は条件交渉へどう影響するか
  • 職員・利用者への説明時期をどう決めるか

制度用語を知っているだけでなく、指定手続きや運営上の課題をM&Aのスケジュールと関連付けて説明できるかが判断材料になります。詳しくは「障がいM&Aの指定・許認可手続き」もご覧ください。

3.買い手は登録数だけで判断しない

買い手データベースの登録社数が多くても、自社の地域・サービス・規模を実際に検討する企業が含まれていなければ、十分な比較はできません。

同じ地域で買収を希望している企業があるか、直近に買収実績があるか、同業以外にどのような候補が考えられるかを質問しましょう。また、仲介会社が買い手の資金力、過去の買収後の運営状況、障がい福祉事業への理解をどのように確認するかも重要です。

4.支援範囲と担当者を確認する

仲介会社によって支援範囲は異なります。次の業務に誰が対応するのかを確認してください。

  • 企業価値・事業価値の簡易評価
  • 匿名資料や企業概要書の作成
  • 買い手候補への打診
  • トップ面談と条件交渉
  • 基本合意、デューデリジェンス、最終契約への対応
  • 指定権者への相談・申請に関する段取り
  • 職員・利用者・家族への説明計画
  • 成約後の業務引き継ぎ

税務・法務・行政手続きでは、税理士、弁護士、行政書士等との連携が必要になる場合があります。外部専門家の紹介が可能か、費用は別途必要かも確認しましょう。

5.手数料は料率ではなく総額を見る

M&Aの費用には、着手金、中間金、月額報酬、成功報酬、最低手数料、成約基本料などがあります。成功報酬の料率が同じでも、譲渡価格を基準にするか、負債を含む移動総資産を基準にするかによって金額が異なります。

自社の想定条件を当てはめた見積書を受け取り、成約しなかった場合に残る費用や外部専門家費用も確認してください。

中小企業庁の「登録支援機関データベース」では、地域、支援業務、手数料体系、最低手数料などから支援機関を検索できます。ただし、登録は障がい福祉への専門性や成約を国が保証するものではなく、比較材料の一つです。

6.秘密保持の手順を確認する

匿名資料であっても、地域、サービス種別、定員、売上などの組み合わせから事業所を推測される可能性があります。

匿名資料へどこまで記載するか、買い手候補へ提示する前に売り手の承諾を得るか、実名開示前に秘密保持契約を締結するかを確認しましょう。多数の候補へ一斉に送るのか、候補を絞って個別に打診するのかも重要です。

7.担当者が不利益やリスクも説明するかを見る

信頼できる担当者は、高額売却の可能性だけでなく、買い手が見つからない可能性、査定額と実際の条件との差、デューデリジェンス後の条件変更、行政手続き上の課題なども説明します。

査定額の高さだけで契約を決めず、算定根拠があるか、質問への回答が具体的か、売却を急かしていないかを確認しましょう。

【無料相談・無料簡易査定】
「まだ売却すると決めていない」「自社に合う相談先や相場感を知りたい」という段階でもご相談いただけます。まずは現在の事業状況と希望条件を整理し、考えられる承継方法を確認してみてください。

初回相談で聞いておきたい12の質問

  1. 自社と同じサービス種別の支援経験はあるか
  2. 想定される譲渡方法と、その理由は何か
  3. どのような買い手候補が考えられるか
  4. 企業価値は何を基準に評価するか
  5. 指定権者への相談は誰が、いつ行うか
  6. 加算・減算、過誤請求、運営指導歴をどう確認するか
  7. 買い手へ実名を開示する条件は何か
  8. 契約後に担当者が変わる可能性はあるか
  9. 税理士・弁護士・行政書士と連携できるか
  10. 成約までに発生し得る費用総額はいくらか
  11. 仲介契約の中途解約は可能か
  12. 成約後の引き継ぎをどこまで支援するか

重要な質問に対する回答が曖昧な場合や、十分な説明がないまま契約を急かされる場合は、契約書案や見積書を受け取ってから判断しましょう。

仲介契約を結ぶ前に確認したい条項

中小企業庁は2024年8月に「中小M&Aガイドライン」を第3版へ改訂しました。仲介会社と契約する際は、手数料だけでなく、次の条項を確認することが重要です。

専任条項

契約期間中にほかの仲介会社へ依頼することを制限する条項です。契約期間、自動更新、中途解約、セカンドオピニオンの可否を確認しましょう。

直接交渉を制限する条項

仲介会社を通さずに買い手候補と交渉することを制限する条項です。制限対象となる相手と期間、自社が以前から関係を持つ企業が含まれるかを確認します。

テール条項

仲介契約の終了後にM&Aが成立した場合でも、一定の条件で成功報酬が発生する条項です。対象期間だけでなく、対象となる買い手が具体的に限定されているかを確認してください。

利益相反に関する説明

仲介会社が売り手と買い手の双方と契約する場合、両者から手数料を受け取ることがあります。双方との契約関係、手数料の受領先、利益相反のおそれをどのように管理するかについて、契約前に説明を受けましょう。

相談から仲介会社を決めるまでの流れ

  1. 売却目的を整理する:希望時期、残したい事業、職員の雇用などをまとめます。
  2. 相談先の候補を選ぶ:業界経験、費用、対応地域、支援範囲を確認します。
  3. 初回相談を行う:秘密保持を確認し、必要な範囲で情報を共有します。
  4. 提案を比較する:査定額だけでなく、根拠、買い手候補、費用、進め方を比較します。
  5. 契約書を確認する:手数料、契約期間、解約条件、専任条項、テール条項などを確認します。
  6. 仲介会社を決める:説明内容と担当者への信頼性を含め、総合的に判断します。

障がい福祉事業全体の売却手順については、「障害福祉事業の売却・M&A完全ガイド」もあわせてご覧ください。複数事業所を運営している場合は、「障がい法人・複数事業所の売却戦略」で一括売却と一部売却の違いを解説しています。

M&A承継サポートの障がい福祉M&A支援

M&A承継サポートは、介護・医療・障がい分野に特化し、代表メンバー2人で100件以上の成約実績があります。また、介護・医療・障がい領域において、2年以内に買収実績のある買い手200社以上のリストを保有しています。

売り手側は着手金・中間金0円の完全成功報酬制で、当社への成功報酬はM&Aの成約時に発生します。税理士、弁護士、行政書士等への外部専門家費用は、必要な支援内容によって別途生じる場合があります。

赤字や廃業を検討している場合も相談可能です。また、お問い合わせから最短12日で成約した実績がありますが、これは個別の成約実績であり、すべての案件が同じ期間で成約するものではありません。実際の期間は買い手候補、条件交渉、デューデリジェンス、指定手続きなどによって異なります。

障がいM&A仲介に関するよくある質問

売却するか決めていなくても相談できますか?

相談できます。売却を決める前に、想定される譲渡方法、価格に影響する要素、買い手候補の有無を確認し、廃業や親族内承継などと比較できます。

赤字や小規模の事業所でも相談できますか?

相談可能です。赤字や小規模であることだけで売却可能性がなくなるとは限りません。ただし、利用実績、人員体制、赤字の原因、行政対応、買い手との相乗効果などによって判断は異なります。

複数の仲介会社へ相談してもよいですか?

仲介契約前であれば複数社へ相談できます。契約後は専任条項によって他社への依頼が制限される場合があるため、契約内容を確認してください。

相談したことを職員や利用者に知られずに進められますか?

初期段階では匿名資料を使用し、情報開示先を限定する方法があります。ただし、情報漏えいの可能性を完全になくせるとは限りません。実名開示の条件や情報管理の方法を仲介会社へ確認しましょう。

事業譲渡では指定をそのまま引き継げますか?

事業譲渡によって運営法人が変わる場合、譲受法人が運営する事業所として原則、新規指定が必要です。一定の条件を満たす場合は申請書類の簡素化や報酬実績の通算が認められる可能性があります。所管自治体へ早めに相談してください。

まとめ|障がいM&A仲介は専門性と契約条件を比較する

障がいM&Aの仲介会社は、知名度や査定額の高さだけで選ばず、同じサービス種別の経験、指定・人員・加算への理解、買い手候補、支援範囲、手数料、秘密保持を比較しましょう。特化型であっても実績の内容と担当者の経験を確認し、契約書の条件を理解したうえで依頼することが大切です。

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法務・会計・労務・行政手続きに関する助言を行うものではありません。実際の契約や手続きについては、税理士、弁護士、社会保険労務士、行政書士等の専門家および所管自治体へご相談ください。障害福祉サービス等の報酬、加算、指定手続きは改正される可能性があるため、必ず最新の法令・通知・自治体情報をご確認ください。

まずはお気軽にお問い合わせください。

松本 圭祐
記事監修
取締役
松本 圭祐
新卒で楽天株式会社に入社し、その後合同会社DMM.comに転職。オンライン英会話サービスの「DMM英会話」の立ち上げを担当し、3年で業界最大手となる。
日本チームのマネージャーを務めた他、新規事業や法人営業なども管掌。その後ヘルスケア・福祉関連の事業を行う上場企業に転職し、M&A支援事業の立ち上げ、グロース全般を担当。
今までにM&Aコンサルタントとして50件以上の案件を成約に導く。
一覧に戻る