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整形外科の売却・M&A|リハビリと自費診療の評価

整形外科クリニックの売却・M&Aでは、リハビリや自費診療の売上に加え、院長交代後も維持できる利益と診療体制が評価の軸になります。後任医師の報酬、療法士の継続勤務、設備更新、施設基準を整理すると、自院の価値を説明しやすくなります。本記事では、売却相場の考え方から収益の見方、医療法人・個人経営の違い、準備資料まで解説します。患者とスタッフを守りながら承継を検討するための参考にしてください。

整形外科の売却相場はどう決まる?

営業権・設備・不動産で評価する対象を整理する

整形外科の売却価格は、譲る対象によって比較の前提が変わります。事業のみ、不動産を含む譲渡、医療法人を存続させる承継では、資産・債務の範囲が異なります。公開案件を見る際も、希望譲渡額と成約価格を区別し、設備や借入を含むかを確かめましょう。

営業権とは、患者との信頼関係や運営体制など、将来の収益につながる目に見えない価値です。設備の時価や借入との関係は評価方法によって異なり、利益に基づく評価へ資産を機械的に足すと二重計上のおそれがあります。詳しくは営業権・のれん代の考え方をご覧ください。

後任医師の報酬を踏まえて実質的な利益を考える

買い手が検討するのは、院長交代後の診療体制で得られる利益です。医療法人の院長報酬を調整する場合も、後任医師の報酬を織り込む必要があります。個人経営では、事業所得に院長自身の診療への対価が含まれるため、決算上の利益をそのまま承継後の利益と扱えません。

  1. 決算上の利益から、一時的な収入・費用を区別する。
  2. 現在の院長報酬の計上状況と、後任医師に必要な人件費を整理する。
  3. 承継後の診療時間、採用費、保守費などを踏まえて収益を見直す。

例えば、院長が長時間の外来と自費診療を担う場合、後任医師の勤務条件によって診療量が変わります。同じ売上でも、医師の配置や設備更新費によって承継後に残る資金は異なります。

売却価格と最終的な手取りを分けて考える

譲渡対価から手取りを考える際は、対価の受取人、返済する借入、仲介手数料、税金を分けます。医療法人が受け取る対価と院長個人の資金は別に整理し、譲渡対象ごとの課税は税理士へ【要確認】です。

法人の借入を院長個人が保証している場合、売却だけで保証が解除されるわけではありません。金融機関と事前に協議し、解除条件、確認方法、実行時期を契約の準備と並行して詰めます。自院の借入・保証契約の取扱いは【要確認】です。

出典:経済産業省・中小企業庁経営者保証の説明(2026年3月24日更新)。

リハビリ部門は整形外科の売却でどう評価される?

「リハビリ売上」を算定項目別に分ける

院内でリハビリと呼ぶサービスも、算定項目や必要な体制は異なります。運動器リハビリテーション料と機器を用いる処置などを、レセプト(診療報酬明細書)と提供実績で分類します。通所リハビリなどの介護保険事業も、医療保険の収益と分けます。

収益の区分確認する資料承継時の確認点
外来診療・検査・処置算定項目別売上、患者数、検査実績後任医師の診療範囲、機器の稼働・保守
運動器リハビリ実施単位数(算定上の提供量)、届出、勤務表、予約実績人員体制、適正算定、継続勤務の見込み
自費診療メニュー別売上・費用、同意書、契約提供技術、集患経路、未消化契約

患者数は、実際に通う人数と延べ来院数を区別します。通院頻度と新規患者数のどちらが売上を支えているかを説明しましょう。

スタッフ配置・予約稼働・人件費を確認する

理学療法士(PT)・作業療法士(OT)などの人数に加え、勤務時間、担当業務、実施単位数、キャンセル、人件費を見ます。予約枠の利用率は、分母となる枠数の数え方をそろえて比較します。

  • 勤務表と実施記録を照合する。
  • 記録作成や指導の時間を含めて勤務体制を把握する。
  • 請求の差戻し・減額や報酬の返還の履歴と対応状況を整理する。
  • 人件費と採用・教育費を見込む。

提供量の検討は、医療上の必要性と適正な算定を前提に進めます。

施設基準とスタッフ定着から収益の継続性を見る

施設基準は、診療報酬の算定に必要な人員・設備などの条件です。届出内容と現在の運用を照合します。令和8年度(2026年度)改定では、疾患別リハビリに専従する療法士の業務範囲や実施単位数の扱いが明確化されています。

自院の人員・面積、兼務の可否、算定要件は【要確認】です。主要スタッフの離職を想定し、採用までの提供量と費用を見積もります。継続勤務の協議では、待遇、引継ぎの役割、後任医師との連携方法を具体化しましょう。

出典:厚生労働省令和8年度診療報酬改定資料、東海北陸厚生局令和8年度の特掲診療料の届出一覧。

自費診療は売上・利益・引継ぎやすさで評価する

メニュー別に材料費・外注費・集患費を確認する

自費診療は、メニューごとに材料費、外注費、決済手数料、広告費、担当者の診療時間を整理します。売上比率に加え、費用を差し引いた利益を示し、人件費や共通費の配分方法もそろえます。

外注費が大きいメニューでは、売上が増えても利益が増えにくい場合があります。広告経由と紹介経由の患者を分けると、広告予算を変えた場合の収益も検討しやすくなります。

院長の技術や集患経路への依存を確認する

現院長の技術や知名度に依存するメニューは、後任医師の対応範囲を確かめます。引継ぎ勤務や研修、外注契約、ウェブサイト・予約システムの承継条件を整理します。

患者の継続受診は本人の意思にも左右されます。メニューを継続する場合と縮小する場合の利益を比較し、買い手と評価の前提を共有します。

同意書・前受金・保険診療との区分を整理する

回数券やコースでは、入金済みでも未提供のサービスが残る場合があります。売上と入金を区別し、前受金(提供前に受け取った代金)、未消化分、返金条件、提供義務を一覧にします。そのうえで承継後の費用負担と対価を調整します。契約を移す方法や患者の同意の要否は【要確認】です。

一連の治療で保険診療と保険外診療を組み合わせる際は、保険外併用療養費制度(一定の保険外診療と保険診療の併用を認める仕組み)等を確認します。メニューごとの提供要件、併用可否、説明・同意書、広告表現は【要確認】です。

出典:厚生労働省保険外併用療養費制度の説明(2026年10月確認)。

まずは無料で自院の相場感を確認しませんか。
リハビリと自費診療の内訳が分かる資料があれば、評価の論点を整理しやすくなります。M&A承継サポートは介護・医療・障がい分野に特化し、秘密厳守で対応しています。売却を決める前の情報収集として、無料簡易査定をご利用ください。

個人経営・医療法人で異なる売却方法と注意点

個人経営・持分あり・持分なし医療法人の違い

医療法人には株式会社のような株式がありません。社団医療法人の「社員」は、社員総会で議決権を持つ構成員を指します。出資持分(出資者の財産上の権利)を取得するだけで経営の意思決定を引き継げるとは限らず、定款(法人の基本ルール)と社員・役員の構成を別に確認します。

形態主な検討方法確認する事項
個人経営合意した資産・事業の譲渡資産の所有者、契約承継、開設・指定手続き
持分あり社団医療法人社員・役員の交代、出資持分の取扱い、事業譲渡定款、社員構成、持分、債務、必要な決議
持分なし社団医療法人社員・役員の交代、事業譲渡定款、基金(返還条件のある拠出金)等の権利関係、非営利性、対価の設計

財団医療法人などは別途検討します。持分なし法人の社員・役員が交代しても、法人財産を個人へ自由に移せるわけではありません。退職金等を含む対価設計と必要な決議・税務は【要確認】です。

出典:厚生労働省医療法・医療法人の機関等(2026年10月確認)。関連:医療法人のM&Aと承継方法。

雇用・賃貸借・リース・診療録の引継ぎを確認する

事業譲渡による労働契約の承継には、職員本人の個別の承諾が必要です。承継先と労働条件を十分に説明し、協議する時間を設けます。賃貸借・リース・保守契約は、譲渡や代表者変更に関する条項と相手方の承諾を調べます。

診療録や患者情報は、開示の目的・範囲・安全管理を決めて扱います。交渉初期は集計資料を活用し、詳細情報の提供が必要な段階で、利用制限や不成約時の取扱いも定めます。具体的な開示方法は【要確認】です。

出典:厚生労働省事業譲渡等指針(2026年5月25日適用の改正を反映)、個人情報保護委員会個人情報保護法ガイドライン・通則編(2026年10月確認)。

開設・指定・施設基準の手続きを確認する

保健所等への開設手続きと、地方厚生局の指定・施設基準届出を分けて確認します。開設者変更と同じ法人の代表者変更を区別し、契約締結前から行政との日程調整を進めます。

遡及指定は、一定の条件で保険医療機関の指定日を遡らせる仕組みです。2026年9月1日から取扱いが変更され、東海北陸厚生局は「その他の場合」の類型について、原則として希望日の3か月前までの予定届出を案内しています。自院の申請類型、期限、施設基準届出は【要確認】です。管轄の厚生局へ早めに相談しましょう。

出典:東海北陸厚生局保険医療機関等の遡及指定及び機能移転の取扱い(2026年9月からの取扱い)。

整形外科の売却に向けた準備と進め方

収益・人員・設備・契約の資料をそろえる

まずは次の資料の所在と更新状況を把握しましょう。

  • 決算書・確定申告書、月次資料、借入・役員貸借の明細。
  • 算定項目別の売上、患者数、リハビリの提供実績。
  • 職員一覧、資格、勤務表、給与、雇用契約、未払残業等の確認資料。
  • 設備台帳、所有・リースの区分、点検・保守履歴、更新予定。
  • 開設・指定・施設基準関係の書類と、行政対応の履歴。
  • 賃貸借契約、自費診療の同意書・契約・未消化分の一覧。

MRIなどは帳簿上の価額に加え、利用状況、修理・更新費用、保守契約を示します。現在の場所で使い続ける条件と、撤去が必要な場合の費用も調べます。

秘密保持のもとで買い手と承継条件を検討する

引退時期、引継ぎ勤務、雇用条件を価格とともに整理します。買い手には匿名の概要から打診し、秘密保持契約後に段階的に情報を開示します。所在地や珍しい診療メニューだけでも特定につながるため、概要資料の記載範囲と現地訪問の方法も調整します。

患者向けには新しい担当医、診療日、予約方法の説明を準備します。関連:医院の引退・売却に向けた準備をご覧ください。

買い手の調査から契約・引継ぎへ進む

デューデリジェンス(DD)は、買い手による財務・法務・診療体制の調査です。リハビリの算定実績、施設基準、機器、労務、自費契約を照合し、価格と引継ぎ条件を詰めます。

  1. 相談・簡易査定:現状と希望条件を整理する。
  2. 買い手選定・基本合意:後任医師、価格、承継範囲を協議する。
  3. DD・最終契約:判明した課題の対応と費用負担を決める。
  4. 行政手続き・譲渡実行・引継ぎ:診療、雇用、予約運用をつなぐ。

基本合意後も調査・協議が続きます。成約までの期間は、後任医師の確保、契約の調整、行政手続きによって変わるため、引退希望日から逆算して準備しましょう。調査の準備はデューデリジェンスの種類と流れで確認できます。

まとめ|収益の内訳と承継条件を整理して売却を検討する

整形外科の売却では、リハビリ・自費診療の利益を承継後の体制で見直します。後任医師の報酬、スタッフの継続勤務、設備更新、契約と行政手続きを整理し、価格と診療継続の条件を一緒に検討しましょう。

売却するか迷っている段階でもご相談いただけます。
M&A承継サポートには、M&A成約100件以上の実績を持つメンバーが在籍し、赤字・廃業検討にも対応しています。当社の仲介料金は着手金・中間金無料の完全成功報酬制です。成約時の仲介料金と、税理士・弁護士など外部専門家の費用・発生時期は事前にご確認ください。まずは秘密厳守の無料相談で、自院の選択肢を整理しませんか。

整形外科の売却・M&Aでよくある質問

赤字や院長の引退予定がある場合も相談できますか?

相談できます。患者基盤、立地、設備、人員、改善余地などを確認します。後任医師の確保や契約条件によって承継可能性は変わり、成約を保証するものではありません。

自費診療が少ないクリニックも評価の対象になりますか?

評価の対象になります。保険診療とリハビリの利益、地域での診療需要、スタッフ体制などを確認します。自費売上の比率だけで価格は決まりません。

リハビリスタッフの継続勤務が未確定でも相談できますか?

相談できます。未確定であることを開示し、継続勤務の条件と採用の見込みを整理します。人員が変わる場合は、施設基準と提供量への影響も確認します。

スタッフや患者に知られず相談を始められますか?

相談開始時は、情報の共有範囲を限定して進められます。買い手への開示は秘密保持契約等のもとで行い、雇用や診療の引継ぎに必要な説明時期は別途調整します。

福祉事業経営者が整形外科の承継に関わる際の注意点は?

開設主体、医療法人の非営利性、経営への関与方法、医師体制を確認します。福祉事業との連携構想だけで承継の可否は判断できず、具体的な形態は【要確認】です。

本記事は2026年10月4日時点で確認した資料に基づく一般的な情報提供です。個別の税務・法務・行政手続きに関する助言ではありません。具体的な判断は、税理士・弁護士、管轄の行政機関等へご確認ください。

まずはお気軽にお問い合わせください。

松本 圭祐
記事監修
取締役
松本 圭祐
新卒で楽天株式会社に入社し、その後合同会社DMM.comに転職。オンライン英会話サービスの「DMM英会話」の立ち上げを担当し、3年で業界最大手となる。
日本チームのマネージャーを務めた他、新規事業や法人営業なども管掌。その後ヘルスケア・福祉関連の事業を行う上場企業に転職し、M&A支援事業の立ち上げ、グロース全般を担当。
今までにM&Aコンサルタントとして50件以上の案件を成約に導く。
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